サンフランシスコ連銀総裁に公然とレズビアンを自称するメアリー・デイリー調査部長が抜擢された

2pt   2018-09-15 05:38
Market Hack

現在のサンフランシスコ連銀総裁はジョン・ウィリアムズです。彼は次期ニューヨーク連銀総裁になることが決まっています。そこでサンフランシスコ連銀総裁のポジションが空席になるのですが、長年、SF連銀で「下積み」をしてきた調査畑のメアリー・デイリー調査部長が次期SF連銀総裁に抜擢されることが決まりました。サンフランシスコFEDは、このニュースに沸いています。

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なぜ彼女の昇進が地域連銀の士気高揚につながっているか? といえば、今回のように「下積み」を長年やってきたスタッフが総裁に抜擢されることは、実は稀だからです。

しかも彼女の場合、いわゆるアイビーリーグなどのブランドネーム大学の卒業ではありません。

彼女はミズーリ州の田舎で育ち、16歳のとき両親が離婚し、母子家庭で困窮し、高校を中退せざるを得なくなりました。その後、独学で大学受験資格を取り、ミズーリ大学カンザスシティ校からシラキュース大学大学院へと進み博士号を取得、その後でサンフランシスコ連銀のスタッフ・リサーチャーとして1996年にベイエリアにやってきました。

実は日本の生保、信託のファンドマネージャーの多くはメアリー・デイリーと懇意です。なぜなら彼女はドットコム・ブームの当時、日本からSF連銀に調査訪問に来るファンドマネージャーの窓口となっていたからです。薄暗いSF連銀の調査部フロアの彼女の小さなキュービクルでNAIRUなどに関する議論を戦わせた日本人ファンドマネージャーも多い筈。

メアリー・デイリーの専門はアメリカ西海岸の労働問題です。彼女自身が「下層」の出身ということもあり、経済格差の問題は彼女をとても熱くさせるトピックでもあります。よく日本人の訪問者が帰った後で、アポイントメントのアレンジをした僕のところに彼女が電話してきて「今日の訪問者は本当に失礼だった」とか「今日のファンドマネージャーは勉強が足らない!」と愚痴をこぼしていささか閉口したものです。それでも時間の許す限り、根気強く日本人の訪問に応えてくれて、僕としては本当に頭があがりません。

それからもうひとつ彼女がユニークな点は「オープンリー・ゲイ」、すなわち、自分がレズビアンであることを公然と職場や学会でオープンにしている点です。サンフランシスコはとても寛容な街なのでゲイやレズビアンは驚くに値しませんが、連邦政府機関、それも地域連銀となると話は別です。だからその彼女がNY連銀と並んで最も重要なSF連銀の総裁に就任するということで胸のすく思いをしているマイノリティーの人たちは多いはず

サンフランシスコ連銀はかつてジャネット・イエレン議長を輩出した連銀でもあります。したがってその重要性から考えて、ゆくゆくメアリー・デイリーも将来のFRB議長候補に入ってくる可能性も無いとはいえません。

なお彼女は連邦公開市場委員会の投票権を持つメンバーになります。



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